ひさおの独り言2016

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論文を書くという作業が一番落ち着く?

私たち実験生物学者にとって、本質的には新規な発見は実験からしか得られない。だから実験を一生懸命しなければならない。でも、仮説を立て実験してその結果を見て次の実験をしてという作業は、少なくとも私にはとても楽しいので、時間や資金さえ続くのであればずっと続けていたいと思える。それを行うのに、特にエネルギーは必要ない。

だがそうやってデータをいくら貯めても、論文として発表しなければ自己満足にしかならない。英語の論文を書いて世に問わないといけない。この作業は、私にとっては、相当のしんどさを伴う。だから実験のようにモーティブフォースなくてもできる作業ではなく、いろいろとこの作業を行わないための言い訳を考えたり、先延ばしにしたり、あるいはそこに自分をコミットさせるように環境を整えたり外圧を加えたりするのだ。

一方で、不思議な事に、論文書きに自分をコミットさせ集中しているときが一番落ち着く。論文を発表するという作業が研究者にとっては最も崇高でクリエイティブだとわかっているから、論文を発表することが研究者の生きるすべだから、ということももちろんある。

それに加え、論文を書くことこそが最も(少なくとも私にとっては)しんどいことであり、努力しなければ決して前に進まないことだと分かっているからかもしれない。講義や学会での発表、研究費の申請書書きなど締切があるものは、とにかくそこまでに仕上げなければと他動的・受動的に努力できる(努力させられる)。一方、論文だけは自動的・能動的に努力しなければいつまでも先延ばしになってしまう。

真にあがきながら能動的に自分が前にすすんでいるという状況だと自分が認識するから、論文を書いていると落ち着くのだろう。そして、逆説的であるが、その落ち着きは、この作業が一番つらく避けたいものだから生じるのだ。これからも、このしんどくて落ち着く作業と向き合っていかなければならない。


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by hisaom7 | 2017-04-15 16:46 | 雑記 | Comments(0)